1_v1_工事経歴書の書き方と作成方法

適切な工事経歴書は、発注者に自社の技術力と信頼性を示す重要な書類です。しかし、その作成には多くの時間と労力を要するため、効率的に取り組むことが求められます。本記事では、工事経歴書の基本から応用までを詳しく解説し、建設業者の皆様の実務に役立つ情報をお届けします。工事経歴書の重要性を再認識し、受注機会拡大のためのヒントを得ることができるはずです。

目次

工事経歴書とは何か

工事経歴書とは、建設業者が施工した工事の内容や実績を記録した書類のことです。建設業法第26条により、建設業者は施工した工事の記録を作成し、保存することが義務付けられています。この記録が工事経歴書であり、過去の工事実績を証明する重要な書類となります。

工事経歴書には、工事名称、施工場所、工事内容、工期、請負金額、発注者などの情報が記載されます。これらの情報は、建設業者の技術力や信頼性を証明するための根拠となります。また、工事経歴書は、発注者が建設業者を選定する際の判断材料としても活用されます。

工事経歴書の定義と役割

工事経歴書は、建設業者が施工した工事の内容や実績を記録した書類であり、以下のような役割を担っています。

  1. 過去の工事実績を証明する
  2. 建設業者の技術力や信頼性を示す
  3. 発注者が建設業者を選定する際の判断材料となる
  4. 建設業法に基づく法的義務を果たす

工事経歴書は、建設業者にとって自社の実力を示す重要な書類であり、発注者にとっては適切な建設業者を選定するための重要な情報源となります。

建設業における工事経歴書の重要性

建設業において、工事経歴書は非常に重要な役割を果たしています。以下は、工事経歴書が建設業において重要とされる理由です。

  1. 建設業法による義務付け
  2. 建設業者の技術力や信頼性の証明
  3. 発注者による建設業者選定の判断材料
  4. 公共工事の入札参加資格の確認

建設業法第26条により、建設業者は施工した工事の記録を作成し、保存することが義務付けられています。この法的義務を果たすためにも、工事経歴書の作成は欠かせません。また、工事経歴書は建設業者の技術力や信頼性を証明する重要な書類であり、発注者が建設業者を選定する際の判断材料としても活用されます。さらに、公共工事の入札に参加する際には、工事経歴書を提出し、過去の実績を示すことが求められます。

工事経歴書の種類と使い分け

工事経歴書には、様々な種類があり、用途に応じて使い分けられています。以下は、主な工事経歴書の種類とその使い分けです。

種類使い分け
公共工事用公共工事の入札参加資格の確認に使用
民間工事用民間工事の受注に際して、発注者に提出
社内管理用自社の工事実績を管理するために作成

公共工事用の工事経歴書は、入札参加資格の確認に使用されるため、定められた様式に従って作成する必要があります。民間工事用の工事経歴書は、発注者ごとに求められる内容が異なるため、柔軟に対応することが求められます。社内管理用の工事経歴書は、自社の工事実績を管理するために作成されるため、自社に適した様式で作成することができます。

工事経歴書の書き方

工事経歴書に必要な情報と項目

工事経歴書を作成する際には、以下の情報と項目を記載する必要があります。

  1. 工事名称
  2. 施工場所
  3. 工事内容
  4. 工期
  5. 請負金額
  6. 発注者
  7. 工事規模(面積、高さ、延長など)
  8. 使用資材・機器
  9. 施工体制(自社施工、下請け業者など)
  10. 工事の特徴や難易度

これらの情報を漏れなく、正確に記載することが重要です。特に、工事内容については、具体的かつ詳細に記述し、工事の規模や難易度が分かるようにすることが求められます。また、発注者の名称や連絡先は、正確に記載しなければなりません。

工事経歴書の様式とフォーマット

工事経歴書の様式やフォーマットは、発注者や用途によって異なります。以下は、一般的な工事経歴書の様式とフォーマットです。

  1. A4サイズの用紙を縦向きに使用する
  2. 表紙には、「工事経歴書」と明記し、会社名、作成日、管理番号などを記載する
  3. 目次を設け、工事経歴の一覧を示す
  4. 各工事経歴は、1ページまたは見開き2ページで作成する
  5. 工事の写真を添付する場合は、適切なサイズと解像度を確保する
  6. ページ番号を付け、全体の枚数を明記する

公共工事の入札に際しては、発注者が指定する様式に従って作成することが求められます。指定された様式に必要事項を漏れなく記入し、提出期限までに提出しなければなりません。民間工事の場合は、発注者との協議の上、適切な様式を選択することができます。

工事経歴書作成のポイントと留意点

工事経歴書を作成する際のポイントと留意点は以下の通りです。

  • 発注者が求める情報を的確に把握する
  • 自社の強みや特長を明確に示す
  • 読みやすく分かりやすい構成と表現を心がける
  • 実績写真や図面などを効果的に活用する
  • 記載内容に誤りや虚偽がないよう、十分に確認する
  • 提出前に社内で内容を精査し、必要に応じて修正する

工事経歴書は、建設業者の技術力や信頼性を示す重要な書類です。発注者が求める情報を的確に把握し、自社の強みや特長を明確に示すことが重要です。また、読み手に分かりやすく、説得力のある内容とするため、適切な構成や表現を心がける必要があります。写真や図面などを活用することで、工事の内容や規模をより具体的に伝えることができます。

工事経歴書の作成は、社内の複数の部署や担当者が関わることが多いため、提出前に十分な確認と精査が必要です。記載内容に誤りや虚偽があった場合、発注者からの信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。工事経歴書の作成は、建設業者にとって重要な業務であることを認識し、慎重かつ丁寧に取り組むことが求められます。

工事経歴書の作成方法

工事経歴書作成の手順

工事経歴書を作成する際は、以下の手順に従って進めることが効果的です。

  1. 必要な情報の収集と整理

    工事経歴書に記載すべき情報を収集し、整理します。工事名称、施工場所、工事内容、工期、請負金額、発注者などの基本情報に加え、工事規模や使用資材、施工体制、工事の特徴や難易度などの詳細情報も必要です。社内の関連部署と連携し、漏れのない情報収集を行いましょう。


  2. 様式の選択とフォーマットの作成

    工事経歴書の様式やフォーマットを選択します。公共工事の場合は発注者が指定する様式に従い、民間工事の場合は発注者との協議の上、適切な様式を選択します。選択した様式に基づいて、工事経歴書のフォーマットを作成します。必要な項目を漏れなく設定し、読みやすいレイアウトを心がけましょう。


  3. 情報の記入と内容の確認

    収集した情報を工事経歴書のフォーマットに記入します。記載内容に誤りや虚偽がないよう、十分に確認することが重要です。専門用語や略語は避け、分かりやすい表現を心がけましょう。数値は正確に記載し、単位も忘れずに明記しましょう。


  4. 写真や図面の準備と挿入

    工事の内容や規模を具体的に示すため、実績写真や図面を準備します。写真は適切なサイズと解像度を確保し、図面は読みやすいものを選びましょう。準備した写真や図面を工事経歴書の適切な位置に挿入します。


  5. 社内での精査と修正

    作成した工事経歴書を社内で精査し、必要に応じて修正を加えます。複数の担当者がチェックを行い、記載内容の正確性と完全性を確認しましょう。発注者が求める情報が的確に示されているか、自社の強みや特長が明確に伝わるかなどの点にも注意が必要です。


以上の手順を踏まえて工事経歴書を作成することで、発注者に対して自社の実績と能力を効果的にアピールすることができます。ただし、作成には十分な時間と労力を要するため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

工事経歴書作成に役立つツールと資料

工事経歴書の作成には、様々なツールや資料が役立ちます。以下は、効果的に活用できるツールと資料の例です。

  • ワープロソフト(Microsoft Word、Google Docsなど)

工事経歴書の作成には、ワープロソフトが欠かせません。Microsoft WordやGoogle Docsなどの一般的なソフトを使用することで、書式の設定や編集が容易になります。テンプレートの作成や、写真・図面の挿入なども簡単に行えます。

  • 表計算ソフト(Microsoft Excel、Google Spreadsheetsなど)

工事の数値データを管理するには、表計算ソフトが便利です。Microsoft ExcelやGoogle Spreadsheetsを使えば、工事の規模や請負金額などのデータを効率的に集計・分析できます。集計したデータを工事経歴書に反映させることで、より説得力のある内容になります。

  • 工事台帳・日報

工事経歴書に記載する情報の多くは、工事台帳や日報から得ることができます。工事の進捗状況や使用資材、施工体制などの詳細情報が記録されているため、これらを参照することで正確な情報を効率的に収集できます。

  • 写真・図面データベース

工事写真や図面は、工事経歴書の内容を具体的に示すために重要な資料です。これらのデータを体系的に管理するデータベースを構築しておくと、必要な写真や図面を迅速に取り出せます。クラウドストレージを活用すれば、関連部署間でのデータ共有も容易になります。

  • 建設業関連の書籍・ウェブサイト

工事経歴書の作成に際しては、建設業に関する知識が求められます。建設業関連の書籍やウェブサイトを参考にすることで、専門用語や業界の動向を理解できます。工事経歴書に記載する内容の適切性を高めるためにも、日頃から情報収集に努めることが大切です。

これらのツールや資料を有効に活用することで、工事経歴書の作成をより効率的かつ効果的に進めることができます。ただし、ツールや資料はあくまでも補助的な役割であり、作成の基本は担当者の知識と経験に基づくものであることを忘れてはいけません。最新の知識と技術を身につけ、自社の実績を適切に伝えられる工事経歴書を作成することが重要です。

工事経歴書の活用と管理

工事経歴書の提出と説明のコツ

工事経歴書を発注者に提出する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。まず、提出時期を遵守し、発注者の指定する部数を過不足なく用意しましょう。また、工事経歴書の内容を十分に理解し、発注者からの質問にも的確に回答できるよう準備しておくことが求められます。

工事経歴書の内容について説明する際は、以下の点に留意しましょう。

  • 自社の強みや特長を明確に伝える
  • 工事の規模や難易度、特殊性などをアピールする
  • 専門用語は避け、分かりやすい表現を心がける
  • 発注者の関心事や懸念点を捉えた説明を行う

工事経歴書の提出と説明を通じて、自社の技術力と信頼性を発注者に効果的にアピールすることが重要です。提出書類の管理を徹底し、説明の機会を最大限に活用することで、受注機会の拡大につなげましょう。

工事経歴書の更新と管理方法

工事経歴書は、常に最新の情報を反映したものでなければなりません。工事の完了後は速やかに経歴書を更新し、自社の実績を適切に管理することが重要です。以下は、工事経歴書の更新と管理に役立つ方法です。

  1. 工事台帳・日報との照合

    工事経歴書の記載内容と、工事台帳や日報の記録を照合します。齟齬がないか確認し、必要に応じて修正を行います。


  2. 定期的な見直しと更新

    年に1~2回程度、定期的に工事経歴書の見直しを行います。最新の実績を追加し、古い情報は削除するなどして、常に最新の状態を維持します。


  3. 電子データでの管理

    工事経歴書を電子データで管理することで、更新や検索が容易になります。クラウドストレージを活用すれば、社内の関連部署間でのデータ共有も可能です。


  4. バックアップの作成

    工事経歴書のデータは、定期的にバックアップを取ることが大切です。PCのトラブルや災害等に備え、クラウドストレージや外部記憶装置にデータを保存しましょう。


これらの方法を実践することで、常に最新で正確な工事経歴書を維持することができます。工事経歴書は自社の実績を示す重要な資料であり、その管理は建設業者にとって不可欠な業務と言えるでしょう。

工事経歴書を活用した受注機会の拡大

工事経歴書は、単なる実績の記録ではありません。それを戦略的に活用することで、新たな受注機会の創出につなげることができます。以下は、工事経歴書を活用した受注機会拡大のためのヒントです。

  • 過去の発注者との関係強化

過去に工事を請け負った発注者に対し、工事経歴書を定期的に送付します。自社の最新の実績を示すことで、継続的な関係構築を図ります。

  • 新規開拓先へのアプローチ

新規開拓先には、自社の強みが分かる工事経歴書を積極的に提示します。類似工事の実績を示すことで、自社の技術力をアピールします。

  • 工事経歴書の公開

自社ウェブサイトに工事経歴書を公開することで、潜在的な発注者の目に留まる機会を増やすことができます。積極的な情報発信により、自社の認知度向上を図ります。

  • 実績のPR

特殊な工法や難易度の高い工事の実績は、積極的にPRします。工事経歴書を用いて具体的に説明することで、自社の技術力の高さを効果的に示すことができます。

工事経歴書は、営業活動を支える重要なツールです。それを単なる義務としてではなく、受注拡大のチャンスと捉えることが大切です。日頃から工事経歴書の充実を図り、戦略的な活用方法を検討することで、建設業者の事業発展に寄与することができるでしょう。

まとめ

工事経歴書は、建設業者にとって自社の技術力と信頼性を示す重要な書類です。適切な工事経歴書を作成するためには、建設業法に基づく義務を理解し、発注者が求める情報を的確に盛り込む必要があります。また、読みやすく分かりやすい構成や表現を心がけ、写真や図面を効果的に活用することで、自社の強みをアピールすることができます。常に最新の情報に更新し、戦略的に活用することで、新たな受注機会の獲得につなげましょう。

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