工事経歴書の書き方と作成方法

工事経歴書は建設業許可申請に必須の書類ですが、記載方法が複雑で、特に複数年度分をまとめて作成する場合は負担が大きいものです。この記事では、工事経歴書の基本的な情報と具体的な記載方法、工事実績がない場合や経営事項審査を受けない場合の対応など、工事経歴書作成に必要な情報をわかりやすく解説します。記事を読み進めることで、工事経歴書の作成を効率的に進めることができるでしょう。

目次

工事経歴書の基本情報と作成方法

工事経歴書に記載すべき基本情報

工事経歴書は、建設業許可申請において重要な書類の一つです。工事経歴書には、直近の決算年度に完成した主な工事の内容を記載します。具体的には、注文者名、工事名、元請または下請の別、工事現場の住所、配置技術者の氏名、請負金額などを記入します。

工事経歴書の作成に際しては、以下の点に注意が必要です。

  1. 許可を受けようとする業種ごとに作成する
  2. 公共工事の入札参加の有無により、記載方法が異なる
  3. 工事実績がない場合や新設法人の場合の記載方法を理解する

これらの基本情報を押さえた上で、工事経歴書を作成することが求められます。

許可業種ごとの工事経歴書の作成方法

工事経歴書は、建設業許可を受けようとする業種ごとに作成する必要があります。例えば、土木工事業と建築工事業の両方の許可を受ける場合は、それぞれの業種について別々に工事経歴書を作成します。

また、許可を受けようとする業種において実績がない場合は、「許可業種の実績なし」と記載します。ただし、他の業種で実績がある場合は、その実績を記載しても構いません。

新設法人の場合は、「新設法人のため実績なし」と記載します。なお、個人事業主時代の実績は、法人の実績とはみなされないので注意が必要です。

公共工事の入札の有無による作成方法の違い

工事経歴書の作成方法は、公共工事の入札に参加するかどうかによって異なります。

公共工事の入札に参加する場合は、経営事項審査を受ける必要があるため、工事経歴書には直前2年間の完成工事の内容を記載します。一方、公共工事の入札に参加しない場合は、直前1年間の完成工事の内容を記載すれば十分です。

また、公共工事の入札に参加する場合は、発注者別の完成工事高を記載する必要がありますが、参加しない場合はその必要はありません。

建設業許可申請における工事経歴書の重要性

工事経歴書は、建設業許可申請において非常に重要な書類です。工事経歴書の内容は、許可行政庁が申請者の施工能力を判断する材料となるため、正確かつ詳細に記載する必要があります。

特に、公共工事の入札に参加する場合は、経営事項審査の評点に直結するため、工事経歴書の内容が重要になります。評点が高ければ、入札参加の機会が増え、受注の可能性も高まります。

以上のように、工事経歴書は建設業許可申請や経営事項審査において重要な役割を果たす書類です。基本情報を理解した上で、正確かつ詳細に作成することが求められます。

工事経歴書の具体的な記載方法

建設工事の種類と注文者の記載方法

工事経歴書の記載にあたり、まず建設工事の種類を正確に記入する必要があります。建設工事の種類は、許可を受けようとする業種に対応する工事内容を記載します。例えば、土木工事業の許可を申請する場合は、道路工事や下水道工事など、土木工事の内容を記載します。

次に、注文者の記載方法ですが、注文者は工事の発注者のことを指します。公共工事の場合は国や地方自治体、民間工事の場合は企業や個人の名称を記載します。注文者名は正式名称で記載し、略称は使用しないようにします。

元請か下請かの記載と工事名の書き方

工事経歴書には、元請工事と下請工事の別を記載する欄があります。元請とは注文者から直接工事を請け負う立場、下請とは元請業者から工事を請け負う立場を指します。該当する方に○印を付けます。

工事名は、注文者との契約書に記載されている正式名称を記入します。工事名から工事の具体的内容が分かるように記載することが重要です。例えば、「○○ビル新築工事」や「××道路改良工事」のように、建物名や路線名を含めて記載します。

工事現場の住所と配置技術者の氏名の記入

工事現場の住所は、市区町村名まで記載します。住所は「○○県○○市○○町○-○-○」のように正確に記入します。ただし、同一市町村内で複数の工事実績がある場合は、「○○県○○市内の○件」のようにまとめて記載しても構いません。

配置技術者の氏名は、当該工事に配置された主任技術者または監理技術者の氏名を記載します。ただし、主任技術者や監理技術者の配置が義務付けられていない工事の場合は、現場代理人の氏名を記載します。いずれの場合も、氏名は本名を正確に記載する必要があります。

請負金額と工期の書き方

請負金額は、注文者との契約書に記載されている金額を記入します。消費税を含む金額で記載し、千円単位で端数を切り捨てます。例えば、「5,678,000円」と契約書にある場合は、「5,678千円」と記載します。

工期は、工事の開始日と完成日を記載します。年月日まで正確に記入し、「○○年○月○日~○○年○月○日」のように表記します。ただし、許可行政庁によっては年月までの記載でも差し支えない場合があるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

小計欄と合計欄の記載方法

工事経歴書には、小計欄と合計欄があります。小計欄には、各工事の請負金額の合計を記載します。合計欄には、全ての小計欄の合計金額を記載します。

小計欄と合計欄の金額は、申請時点の最新の決算書の完成工事高と一致している必要があります。決算書と金額が一致していない場合は、許可行政庁から修正を指示されることがあるので注意が必要です。

以上が、工事経歴書の具体的な記載方法です。記載内容に誤りがないよう、提出前に複数の担当者でチェックすることをおすすめします。また、許可行政庁によって記載方法が異なる場合があるので、事前に確認しておくことが重要です。

経営事項審査を受けない場合の工事経歴書

公共工事の入札を希望しない場合の工事経歴書

建設業許可申請において、公共工事の入札参加を希望しない場合は、経営事項審査を受ける必要がありません。この場合、工事経歴書の作成方法は以下のようになります。

  1. 直前1年間の完成工事の内容を記載する
  2. 発注者別の完成工事高の記載は不要
  3. 決算書類の添付は不要

公共工事の入札参加を希望しない場合は、直近の決算年度の工事実績のみを記載すれば十分です。発注者別の完成工事高や決算書類の添付は必要ありません。

経営事項審査の概要と必要性

経営事項審査とは、公共工事の入札参加資格を得るために必要な審査です。経営事項審査では、建設業者の経営状況や技術力、社会性などを数値化し、総合評定値を算出します。この総合評定値が高いほど、公共工事の入札参加機会が増えるため、建設業者にとって重要な審査となります。

経営事項審査を受けるためには、工事経歴書の他に、財務諸表や工事完成高の内訳書などの書類を提出する必要があります。これらの書類は、建設業者の経営状況を客観的に評価するために用いられます。

経営事項審査を受けないメリットとデメリット

経営事項審査を受けないメリットは、審査に必要な書類の作成負担が軽減されることです。特に、複数年度分の工事経歴書を作成する必要がないため、作業量を大幅に削減できます。また、決算書類の提出も不要となるため、事務作業の負担が軽くなります。

一方、経営事項審査を受けないデメリットは、公共工事の入札に参加できなくなることです。公共工事は、民間工事に比べて工事規模が大きく、安定した収益が見込めるため、多くの建設業者が参入を希望します。経営事項審査を受けないことで、こうした受注機会を逃すことになります。

入札参加を目的としない建設業者の工事経歴書作成のポイント

公共工事の入札参加を目的としない建設業者が工事経歴書を作成する際は、以下の点に注意が必要です。

  1. 許可を受けようとする業種ごとに作成する
  2. 直前1年間の完成工事の内容を記載する
  3. 実績のない業種は「許可業種の実績なし」と記載する
  4. 新設法人の場合は「新設法人のため実績なし」と記載する
  5. 個人事業主時代の実績は法人の実績とはみなされない

これらのポイントを押さえつつ、具体的な記載方法に従って工事経歴書を作成することが重要です。記載内容に誤りがないよう、提出前に複数の担当者でチェックすることをおすすめします。

以上のように、公共工事の入札参加を希望しない建設業者は、経営事項審査を受ける必要がないため、工事経歴書の作成負担が軽減されます。一方で、公共工事の受注機会を逃すことになるため、自社の経営方針に合わせて判断する必要があります。

まとめ

本記事では、建設業許可申請に必須の工事経歴書について、その作成方法を詳しく解説しました。基本情報から許可業種ごとの作成方法、公共工事入札参加の有無による違い、具体的な記載方法まで幅広く網羅しています。特に、直近の決算年度の工事内容を正確に記載すること、許可業種ごとの作成、公共工事入札参加有無での記載方法の違いに注意が必要です。また、実績がない場合や新設法人の対応、決算書との整合性確認も重要です。この記事の知識を活用し、正確かつスムーズな工事経歴書の作成にお役立てください。

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