寄与分と遺留分の関係は?相続に強い弁護士が解説!

私の父は、10年ほど前に亡くなった母の介護を私がしていたことを理由に、遺言で私に多めの遺産を残すと言っていました。しかし、父が先日亡くなった際、遺言書が見つからず、法定相続分に従って遺産を分けることになりそうです。私が母の介護をしていたことを主張して、寄与分を請求することはできますか?

ご質問のケースでは、被相続人である父の介護ではなく、すでに亡くなっている母の介護をしていたということですので、父の遺産分割において寄与分を主張することはできません。民法904条の2第1項で、寄与分が認められるのは、被相続人の事業に関する労務の提供や、被相続人の療養看護などの場合に限定されています。 したがって、亡くなった母の介護については、父の相続における寄与分としては評価されず、法定相続分に従って遺産分割をする必要があります。 ただし、被相続人である父が生前に、あなたが母の介護をしていたことを認識し、多めの遺産を残すという意思表示をしていたのであれば、生前贈与や死因贈与の可能性も考えられます。 父の遺言書が見つからない場合でも、父のメモや第三者の証言など、父の贈与の意思を推認させる資料があれば、遺産分割調停などで主張できる余地はあります。

寄与分が認められる場合と認められない場合について、遺留分との関係や、具体的な事例をもとに解説していきます。

寄与分とは?

寄与分は、相続人の一人が被相続人の療養看護や事業への従事など特別な寄与をした場合に、相続分とは別に認められる財産取得の権利のことをいいます。

本セクションでは、寄与分の定義や認められる条件、具体的な事例、相続人ごとの主張方法について詳しく解説します。

寄与分の定義

寄与分は、民法第904条の2に定められています。この規定によると、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人は、相続の開始後、寄与分として財産の分割を請求することができるとされています。

つまり、被相続人の介護や事業の手伝いなど、特別な貢献をした相続人は、通常の相続分とは別に、その貢献度合いに応じた分け前を相続財産から受け取ることができるのです。

寄与分が認められる条件

寄与分が認められるためには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 相続人の寄与が、被相続人の財産の維持・増加に特別に貢献していること
  • 寄与の程度が、他の相続人と比べて著しく大きいこと
  • 寄与の事実が、客観的な証拠によって裏付けられること

例えば、長年にわたって被相続人の介護を行ったり、被相続人の事業に従事して収益に貢献したりした場合などが、寄与分が認められるケースに当たります。

寄与分の具体的事例

寄与分が認められる具体的な事例としては、以下のようなものがあります。

  1. 事業従事型:被相続人の事業に長年従事し、事業の発展に貢献した場合
  2. 財産給付型:被相続人に多額の資金援助を行い、財産形成に寄与した場合
  3. 療養看護型:被相続人の療養看護を長期間にわたって行った場合

これらは一例ですが、寄与の内容や程度は事案によって様々であり、個別の事情を踏まえて判断されます。

相続人ごとの寄与分の主張方法

寄与分を主張するには、家庭裁判所に対して寄与分を定める審判の申立てを行う必要があります(家事事件手続法第244条)。

申立ての際には、寄与の事実を証明する資料(介護日誌、送金記録など)を提出し、具体的にどのような寄与を行ったのかを主張します。

寄与分の額は、寄与の時期・期間・方法などを考慮して、裁判所が判断することになります。寄与分の主張に際しては、できるだけ客観的な証拠を収集し、説得力のある主張を行うことが重要です。

遺留分とは?

遺留分制度は、被相続人の遺言による財産処分の自由と、相続人の最低限の取り分を保障するための調整を図る制度です。

被相続人が遺言で特定の相続人に多くの財産を与えたり、第三者に遺贈したりした場合でも、一定の法定相続人には遺留分として最低限の取り分が保障されます。

遺留分の定義

民法第1028条は、遺留分権利者とその割合を定めています。遺留分とは、兄弟姉妹を除く一定の法定相続人が確保できる最低限の相続分のことを指します。

被相続人が遺言で財産処分をしても、遺留分権利者はその一定割合の遺産を取得する権利を有します。

遺留分権利者の範囲

民法第1028条によれば、遺留分権利者は、被相続人の配偶者、直系尊属、直系卑属に限定されます。したがって、被相続人の兄弟姉妹には遺留分権は認められません。

直系尊属とは、被相続人の親、祖父母などを指し、直系卑属とは、被相続人の子、孫などを指します。

遺留分の割合の計算方法

遺留分の割合は、民法第1028条に定められており、配偶者が常に法定相続分の二分の一となります。一方、直系尊属と直系卑属の遺留分は、同順位の遺留分権利者の数によって異なります。

具体的には、直系尊属のみが遺留分権利者である場合はその法定相続分の三分の一、直系卑属のみが遺留分権利者である場合はその法定相続分の二分の一となります(民法第1028条)。

遺留分の算定にあたっては、被相続人が相続開始前1年間にした贈与や、相続開始時の遺産の価額を基礎とします(民法第1043条、第1047条)。

ただし、婚姻、養子縁組のためにした贈与など、特別の事情があるものは算入対象から除外されます。

遺留分と法定相続分の違い

遺留分と法定相続分は、ともに相続人の相続分に関する概念ですが、いくつか重要な違いがあります。

  • 法定相続分は、被相続人が遺言で指定しない場合の相続分の割合を定めたものですが、遺留分は、被相続人の意思に関わらず一定の相続人に保障される最低限の取り分です。
  • 法定相続分の対象は、配偶者と血族に広く及びますが、遺留分権利者の範囲は限定されています。
  • 遺留分の割合は、原則として法定相続分よりも低く設定されています。

遺留分は、被相続人の意思を尊重しつつも、相続人の最低限の権利を守るための制度といえるでしょう。

遺言の内容によっては、遺留分権利者が遺留分侵害額請求権を行使し、遺産分割の調整を求めることができます。

寄与分と遺留分の関係

相続における寄与分と遺留分の関係性を理解することは、円滑な遺産分割を行う上で重要です。本記事では、寄与分と遺留分の法的優先順位、遺留分侵害額請求と寄与分の関連性、寄与分の主張が遺留分に与える影響、そして遺産分割協議・審判における寄与分と遺留分の調整について詳しく解説します。

寄与分と遺留分の法的優先順位

寄与分は、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした相続人に対して、相続開始時の被相続人の財産の価額から遺贈の価額を控除した額について認められる権利です(民法第904条の2)。一方、遺留分は、被相続人の一定の近親者に対して、相続財産の一定割合を確保する権利です(民法第1042条)。

寄与分と遺留分の法的優先順位については、まず寄与分を考慮し、その後に遺留分を算定するのが原則です。これは、寄与分が相続財産の維持・増加に特別に貢献した相続人の貢献度を評価するものであるのに対し、遺留分は相続人の最低限の取り分を保障するものだからです。

遺留分侵害額請求と寄与分の関連性

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求権を行使することで、受遺者や受贈者に対して遺留分を侵害する部分の金銭の支払いを請求できます(民法第1046条)。この際、寄与分を有する相続人が受遺者や受贈者となっている場合、遺留分侵害額請求の対象となる財産の評価に寄与分が影響を与える可能性があります。

例えば、寄与分を有する相続人が受遺者となっている場合、遺贈の価額から寄与分相当額を控除した金額が遺留分侵害額請求の対象となると考えられます。ただし、個別のケースにおける寄与分と遺留分の関係性は複雑であり、専門家による慎重な検討が必要です。

寄与分の主張が遺留分に与える影響

ある相続人が寄与分を主張することで、遺産分割における他の相続人の取得分が減少し、結果的に遺留分に影響を与える可能性があります。寄与分の主張が認められた場合、遺留分算定の基礎となる財産の価額が減少するため、遺留分権利者の取得分が減少することがあるのです。

ただし、寄与分の主張は、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をしたことを立証する必要があります(民法第904条の2)。寄与分の主張が認められるかどうかは、個別の事案に応じて判断されることになります。

遺産分割協議・審判における寄与分と遺留分の調整

遺産分割協議や審判において、寄与分と遺留分の調整が重要な課題となります。遺産分割協議では、相続人全員の合意により、寄与分と遺留分を含めた相続財産の分割方法を決定します。合意が得られない場合、家庭裁判所に遺産分割の審判を申し立てることになります(民法第907条)。

遺産分割審判では、家庭裁判所が寄与分と遺留分を考慮しつつ、公平な遺産分割を目指します。この際、寄与分を有する相続人の貢献度と、遺留分権利者の最低限の取り分保障のバランスを図ることが重要です。必要に応じて、寄与分を定める処分(家事事件手続法第244条)や、遺留分侵害額請求権の行使(民法第1046条)が検討されることになります。

寄与分と遺留分の調整は、法律の専門知識と経験が必要とされる複雑な問題です。円滑な遺産分割を実現するためには、相続に強い弁護士に相談し、適切な対応方針を検討することが重要でしょう。

遺留分侵害額請求と寄与分の主張

ここでは、寄与分のある相続人に対して遺留分侵害額請求がなされた場合の法的問題と、遺留分侵害額請求に対して寄与分の主張をする際の留意点について説明します。また、遺留分侵害額請求権の期間制限(民法1048条)と寄与分主張のタイミングの関係や、遺留分侵害額の算定方法(民法1047条)における寄与分の考慮についても触れます。

遺留分侵害額請求に対する寄与分の主張の困難さ

遺留分侵害額請求を受けた寄与分のある相続人は、寄与分を主張して請求額の減額を求めることができます。しかし、寄与分の主張は、遺産分割の場面で行われるのが一般的であり、遺留分侵害額請求との関係では、主張が認められにくい傾向にあります。

その理由は、寄与分の主張には具体的な事実の立証が必要であり(家事事件手続法274条)、遺留分侵害額請求の訴訟手続きにおいて、そうした立証を十分に行うことが難しいためです。したがって、寄与分のある相続人としては、遺産分割の協議や審判の場で寄与分を主張し、認められた上で、遺留分侵害額請求に対応することが望ましいでしょう。

遺留分侵害額請求権の期間制限と寄与分主張のタイミング

遺留分侵害額請求権は、原則として、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法1048条)。この期間制限は、寄与分の主張とは直接関係ありませんが、寄与分のある相続人としては、この期間内に寄与分を主張する必要があります

具体的には、遺産分割の協議や審判の申立て(家事事件手続法244条)を、遺留分侵害額請求権の期間制限内に行うことが重要です。寄与分の主張が認められれば、相続分が増加し、遺留分侵害額請求に対する反論の根拠となります

遺留分侵害額の算定方法における寄与分の考慮

遺留分侵害額は、遺留分算定の基礎となる財産の価額から、遺留分権利者が受けた遺贈の価額と特別受益の価額を控除し、これに遺留分の割合を乗じて算定します(民法1047条)。ここで問題となるのが、寄与分の考慮方法です。

前述のとおり、寄与分は遺留分算定の基礎となる財産の価額には影響しませんが、遺産分割の結果、寄与分のある相続人の具体的な取得額が確定すれば、その額を特別受益として遺留分侵害額の算定に組み入れる余地があります。ただし、この点については見解が分かれており、最終的には個別の事案に応じた裁判所の判断に委ねられることになるでしょう

寄与分と遺留分の関係は複雑ですが、遺留分侵害額請求を受けた寄与分のある相続人としては、まずは遺産分割の場で寄与分を主張し、認められるよう努めることが重要です。その上で、遺留分侵害額請求への対応を検討する必要があります。遺産相続に関する法的問題は専門的で複雑なので、弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします

寄与分の主張に必要な証拠と立証

寄与分を主張するためには、被相続人の財産形成や維持・増加に特別に寄与した事実を証明する必要があります。寄与分の種類によって、必要とされる証拠や立証方法が異なります。

本セクションでは、事業従事型、財産給付型、療養看護型、その他の寄与分について、それぞれどのような証拠を集め、どのように立証していくのかを解説します。

事業従事型の寄与分の立証方法

事業従事型の寄与分を主張するには、被相続人の事業に相続人が従事していた事実を立証する必要があります。具体的には、以下のような証拠を集めることが重要です。

  • 事業の帳簿や記録、従業員の給与明細など、事業への関与を示す書類
  • 事業に関する意思決定への参加を示す会議録や議事録
  • 取引先との契約書や連絡記録など、事業活動への関与を示す資料
  • 事業に関する資格や許可証、表彰状など、事業への貢献を裏付ける書類

これらの証拠をもとに、相続人が被相続人の事業に継続的かつ実質的に関与し、その発展に寄与していたことを主張します。事業従事の期間や内容、事業収益への影響などを具体的に説明することが求められます。

財産給付型の寄与分の立証方法

財産給付型の寄与分を主張するには、相続人から被相続人への財産給付の事実を立証する必要があります。以下のような証拠を集めることが有効です。

  • 相続人から被相続人への送金記録や振込明細
  • 相続人名義の不動産や預金を被相続人に贈与したことを示す書類
  • 相続人が被相続人の債務を代わりに弁済したことを示す領収書や明細
  • 財産給付の対価性を否定する贈与契約書や念書など

これらの証拠をもとに、相続人から被相続人への財産給付が、相続人の特別な寄与に当たることを主張します。財産給付の金額や時期、被相続人の財産状況への影響などを具体的に説明することが重要です。

ただし、民法第903条に定める特別受益に該当する財産給付は、寄与分とは認められません。相続開始前の10年以内に、被相続人から無償で財産を取得した場合は注意が必要です。

療養看護型の寄与分の立証方法

療養看護型の寄与分を主張するには、相続人による被相続人の療養看護の事実を立証する必要があります。以下のような証拠を集めることが有効です。

  • 診療記録や薬の処方箋、介護サービスの利用記録など
  • 被相続人の病状や介護の必要性を示す医師の診断書や意見書
  • 相続人が行った療養看護の内容や期間を示す日記や記録
  • 療養看護に要した費用の領収書や明細など

これらの証拠をもとに、相続人による療養看護が、一般的な水準や民法第877条の扶養義務の範囲を超えて行われたことを主張します。療養看護の期間や内容、被相続人の療養看護の必要性、相続人の負担などを具体的に説明することが求められます。

その他の寄与分の立証方法

事業従事型、財産給付型、療養看護型以外にも、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をしたと認められる場合には、寄与分が認められる可能性があります。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 被相続人の財産管理に関する相続人の寄与
  • 被相続人の知的財産権の取得や管理に関する相続人の寄与
  • 被相続人の身上監護に関する相続人の寄与

これらの寄与を立証するためには、相続人の行為と被相続人の財産の維持・増加との因果関係を示す証拠を集める必要があります。たとえば、財産管理の記録や身上監護の日記、知的財産権の出願書類や管理経費の領収書などが有効な証拠となります。

寄与分の主張には、客観的な証拠の収集と論理的な立証が不可欠です。相続人間で寄与分に関する争いが生じた場合は、弁護士に相談して適切な対応を検討することをおすすめします。

遺留分侵害額請求後の法的手続きと対応

遺留分とは、法定相続人が最低限相続できる相続財産の取り分のことを指します。一方、寄与分は、被相続人の事業に従事したり、療養看護などをした相続人の貢献度に応じて、相続分を加算する制度です。

遺留分侵害額請求が行われた後の法的手続きと対応について、遺留分侵害額請求訴訟の流れ、寄与分の主張と立証の重要性、弁護士への相談の必要性と適切なタイミング、調停・審判による解決の可能性について解説します。

遺留分侵害額請求訴訟の流れ

遺留分侵害額請求訴訟は、遺留分権利者が、遺留分を侵害された場合に、侵害額の支払いを求める訴訟です。この訴訟は、被告の住所地を管轄する地方裁判所に提起します(民事訴訟法第5条)。

訴訟の流れは以下のようになります:

  1. 訴状の提出
  2. 第1回口頭弁論期日の指定
  3. 答弁書の提出
  4. 争点整理手続き
  5. 証拠調べ
  6. 判決言渡し

遺留分侵害額請求訴訟では、遺留分侵害の有無、侵害額の算定、寄与分の有無とその額などが主要な争点となります。

寄与分の主張と立証の重要性

遺留分侵害額請求訴訟において、寄与分を主張する相続人は、寄与分が認められるための要件を満たしていることを立証する必要があります。具体的には、被相続人の事業に従事した事実、療養看護を行った事実などを証明する必要があります(民法第904条の2)。

寄与分の立証には、事業の帳簿、療養看護の記録、第三者の証言など、客観的な証拠が重要となります。立証が不十分な場合、寄与分の主張が認められない可能性があります。

弁護士への相談の必要性と適切なタイミング

遺留分侵害額請求訴訟は、法的に複雑な問題が絡むため、専門知識を持った弁護士に相談することが重要です。弁護士は、遺留分侵害の有無、侵害額の算定、寄与分の主張と立証など、訴訟に必要な手続きを適切に行うことができます。

弁護士への相談は、遺留分侵害を疑った段階で早めに行うことが望ましいでしょう。訴訟の準備には時間がかかるため、早期の相談が適切な対応につながります。

調停・審判による解決の可能性(家事事件手続法257条、274条)

遺留分侵害額請求訴訟は、調停や審判によって解決することも可能です。家事事件手続法第257条では、遺産分割の審判の申立てがあった場合、原則として調停前置主義が採られていることが定められています。

また、家事事件手続法第274条では、寄与分を定める処分の申立てがあった場合、家庭裁判所が審判で寄与分を定めることが規定されています。

調停や審判では、当事者間の話し合いを通じて、合意形成を図ることができます。訴訟に比べて、手続きが簡易で、費用も抑えられるというメリットがあります。ただし、話し合いがまとまらない場合は、最終的に訴訟での解決を図る必要があります。

寄与分と遺留分に関する相続トラブルの予防策

寄与分と遺留分は、相続における重要な概念ですが、時としてトラブルの原因にもなり得ます。ここでは、相続トラブルを未然に防ぐための予防策について、4つの観点から解説します。

生前の遺言書作成における寄与分の考慮

相続トラブルを防ぐ上で、生前の遺言書作成は非常に重要です。遺言書を作成する際には、相続人の中で特に被相続人の療養看護や事業の維持・発展等に貢献した者がいる場合、その寄与分(民法第904条の2)を考慮することが大切です。

例えば、長年にわたり家業を手伝ってきた子供や、親の介護を献身的に行ってきた子供がいる場合、その貢献度合いに応じて、遺言書で寄与分を指定することができます。これにより、相続人間の不公平感を緩和し、相続トラブルを未然に防ぐことが期待できるでしょう。

相続人間のコミュニケーションの重要性

寄与分と遺留分に関するトラブルを防ぐには、相続人間のコミュニケーションが非常に重要です。被相続人の生前から、相続人全員で相続に関する話し合いを持つことをおすすめします。

話し合いの中では、各相続人の貢献度合いや、将来の相続方針について率直に意見交換をすることが大切です。また、被相続人の意向を相続人全員で共有し、理解を深めることも重要でしょう。円滑なコミュニケーションにより、相続人間の認識の差を埋め、相続トラブルのリスクを減らすことができます。

財産管理と記録の適切な保管

寄与分の主張や遺留分侵害額請求への対応において、財産管理と記録の適切な保管は欠かせません。被相続人は、生前から財産の状況を明確に記録し、それを安全な場所で保管しておくことが大切です。

また、特定の相続人が被相続人の療養看護や事業の維持・発展等に尽力した場合、その貢献を示す記録(例:介護日誌、事業の帳簿等)を残しておくことも重要です。これらの記録は、寄与分の主張や遺留分侵害額請求への対応の際に、強力な証拠となり得ます。

専門家(弁護士、税理士等)への相談

寄与分と遺留分に関する問題は、法的にも税務的にも複雑な側面を持ちます。トラブルを防ぐためには、専門家(弁護士、税理士等)に相談することが非常に有効です。

弁護士は、遺言書の作成、寄与分の主張、遺留分侵害額請求への対応等、法的な観点からアドバイスを提供します。一方、税理士は、相続税の計算や申告、財産評価等、税務面でのサポートを行います。これらの専門家の助言を得ることで、トラブルのリスクを大幅に減らすことができるでしょう。

東京都千代田区の遺産相続に強い弁護士へのご相談は直法律事務所

遺産相続に関するトラブルを予防するためには、生前の遺言書作成時に寄与分を考慮し、相続人間のコミュニケーションを図ることが大切です。また、財産管理と記録の適切な保管、専門家への相談も有効な手段といえるでしょう。 遺産相続は複雑な法的問題を含むため、トラブルが生じた場合は早期に弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、寄与分と遺留分の関係を踏まえた適切な解決策を提案し、円滑な遺産分割の実現をサポートします。

参考文献

https://souzoku.vbest.jp/columns/4894/
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