介護業界の離職率が高いって本当?よくある離職理由と離職率を調べる方法をわかりやすく解説

介護職の就職や転職を考える際、気になるのが「離職率の高さ」ではないでしょうか。介護業界は離職率が高いというイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

この記事では、介護業界の実際の離職率や離職理由、就職・転職の際に離職率を調べる方法、そして職場選びのポイントについて詳しく解説します。介護業界への就職や転職を検討している方はもちろん、現在介護職として働いている方にも参考になる情報をお届けします。

目次

介護業界の離職率の実態

介護業界は離職率が高いというイメージがありますが、実際のデータではどうなっているのでしょうか。最初に実際に公開されているデータを見ていきましょう。

最新の離職率データ

厚生労働省「雇用動向調査」および介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」によると、2023年時点での介護職の離職率は13.1%となっています。これは全産業平均の15.4%と比較してもそれほど大きな差がありません。

特に近年は改善傾向が見られます。かつては20%を超える離職率だった時期もありましたが、処遇改善や労働環境の整備などの取り組みにより、離職率は徐々に低下してきているのです。

ただし、上記はあくまで介護業界全体で見た場合の数値であり、施設の種類や地域によって差があることには注意が必要です。

人材不足の現状

離職率の改善が見られる一方で、介護業界の人材不足は依然として深刻な問題となっています。2023年度の介護労働安定センターの調査によると、介護事業所の約60%が介護職員について「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答しています。

特に訪問介護では、81.4%の事業所が人材不足を感じているというデータもあります。高齢化社会の進行に伴い需要が増加する中、人材の確保・定着は業界全体の課題となっています。

この人材不足の背景には、離職率の問題だけでなく、新規参入者の減少や介護職のイメージなどの複合的な要因があります。今後ますます増加する介護需要に対応するためには、業界全体での取り組みが必要とされています。

介護職のよくある離職理由

介護職の離職理由には様々なものがあります。これらを理解することで、就職・転職の際の判断材料になるでしょう。

人間関係の問題

介護労働安定センターの調査によると、離職理由の上位に「職場の人間関係に問題があったため」が挙げられています。介護の現場では、同僚だけでなく、利用者やその家族、他の専門職との連携が必要となるため、人間関係の構築が重要になります。

特に、チームで働くことが多い介護現場では、コミュニケーションの不足や価値観の違いによる摩擦が生じやすい環境です。また、24時間体制の施設では、シフト制による人間関係の希薄化も課題となっています。

このような状況下で、良好な人間関係が構築できる職場環境かどうかが、長く働き続けられるかどうかの大きな要因となっています。

ライフステージの変化

結婚や出産、家族の介護など、個人のライフステージの変化も離職理由の一つとなっています。特に女性が多い職場であるため、結婚や出産を機に離職するケースも少なくありません。

夜勤や不規則な勤務形態が家庭との両立を難しくしていることも事実です。子育てや家族の介護との両立が困難な場合、やむを得ず離職を選択するケースもあります。

最近では、育児休暇制度の充実や短時間勤務制度の導入など、ライフステージの変化に対応できる職場環境の整備が進んでいる事業所も増えています。このような取り組みが進むことで、離職率の低下につながることが期待されています。

将来への不安

「将来への見込みが立たなかった」という理由も離職の大きな要因となっています。キャリアパスが不明確であったり、給与の上昇が見込めなかったりする場合、将来に対する不安から離職を選択するケースがあります。

介護業界では、資格取得やスキルアップの機会が限られている場合もあり、自己成長や専門性の向上を感じられないことが離職につながることもあります。

一方で、近年は介護福祉士やケアマネージャーなど上位資格の取得支援制度を設けたり、キャリアラダー(職位や職能のレベルを段階的に示したもの)を明確化したりする事業所も増えています。自分のキャリアプランを描ける環境かどうかも、職場選びの重要なポイントと言えるでしょう。

業務負担と待遇面の問題

業務量の多さや身体的・精神的な負担も、離職の大きな理由となっています。介護職は身体を使う仕事であり、腰痛などの身体的問題を抱える方も少なくありません。また、認知症ケアなど精神的な負担が大きい業務もあります。

こうした負担に対して、待遇面での不満も離職理由として挙げられています。処遇改善加算などの制度により介護職の待遇は改善されつつありますが、業務量や責任の重さに見合った給与水準かどうかは、依然として課題となっています。

人手不足による業務過多も大きな問題です。慢性的な人材不足により、一人当たりの業務量が増加し、負担が大きくなるという悪循環に陥っている職場も見られます。適切な人員配置や業務分担が行われているかどうかは、職場選びの際に確認すべき重要なポイントです。

介護の職場の離職率を調べる方法

介護業界への就職・転職を検討する際、その職場の離職率を事前に調べることは重要です。実際にどのように調べればよいのでしょうか。

介護サービス情報公表システムの活用

厚生労働省が運営する「介護サービス情報公表システム」を使うと、各事業所の情報を確認することができます。このシステムでは、人員体制や退職者数などの情報が公表されています。

利用方法は以下の通りです。

  1. 厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」のウェブサイトにアクセスする
  2. 都道府県を選択し、「介護事業所を検索する」をクリックする
  3. 事業所名を入力するか、サービスの種類や地域などの条件を選択して検索する
  4. 目的の事業所を選択し、「詳細情報を見る」をクリックする
  5. 「従業者情報」のタブで、前年度の退職者数などを確認する

この情報を基に、離職率を計算することができます。離職率の計算式は以下の通りです。

離職率(%)= 離職した人数 ÷ 総従業員数 × 100

例えば、総従業員数が50人で、1年間に7人が退職した場合、離職率は14%(7÷50×100)となります。この数値を全国平均や業界平均と比較することで、その職場の状況を判断する材料となります。

公式のデータベースで客観的な情報を確認することで、求人情報だけでは分からない職場の実態を把握することができます。

求人情報をチェックする方法

最近では、離職率の低さをアピールポイントとして求人情報に記載している事業所も増えています。介護職専門の求人サイトや一般的な転職サイトで、「離職率」というキーワードで検索してみると、離職率の低い職場を見つけることができる場合があります。

求人情報では、「離職率○%以下」「定着率○%」などの表現で記載されていることが多いです。特に、長期間にわたって離職率が低い状態を維持している職場は、働きやすい環境が整っている可能性が高いと言えるでしょう。

ただし、求人情報に記載されている数値は事業所側の自己申告であることが多いため、情報の信頼性には注意が必要です。また、新設間もない事業所の場合は、十分なデータがない可能性もあります。

可能であれば、複数の情報源から情報を集め、慎重に判断することをおすすめします。例えば、求人情報と介護サービス情報公表システムの両方をチェックするといった方法が効果的です。

直接事業所に聞く方法

最も直接的な方法は、面接や見学の際に事業所に直接質問することです。特に面接では、「過去1年間の離職率はどのくらいですか?」「平均勤続年数はどのくらいですか?」といった質問をすることができます。

この質問に対する回答の仕方や態度からも、その事業所の透明性や職場環境に対する姿勢を判断することができます。質問に対して具体的な数字を挙げて回答してくれる事業所は、情報開示に積極的で信頼できる可能性が高いでしょう。

また、「どのような理由で退職される方が多いですか?」「スタッフの定着のためにどのような取り組みをしていますか?」といった踏み込んだ質問も有効です。これらの質問に対する回答から、事業所が抱える課題や改善への取り組みを知ることができます。

採用担当者との質疑応答を通じて職場の実態を把握することは、入職後のミスマッチを防ぐためにも重要なプロセスです。質問することをためらわず、必要な情報を収集しましょう。

介護職の転職活動でチェックすべきポイント

職場を選ぶ際には、離職率だけでなく、様々な角度からチェックすることが大切です。では、具体的にどのようなポイントを確認すべきでしょうか。

労働条件の詳細確認

転職先を検討する際には、基本的な労働条件を詳しく確認することが重要です。具体的には以下のような点をチェックしましょう。

  • 給与体系(基本給、手当の種類と金額、昇給制度など)
  • 勤務時間(シフトの組み方、残業の有無と頻度)
  • 休日・休暇制度(年間休日数、有給休暇の取得状況)
  • 夜勤の有無と回数、夜勤手当の金額
  • 賞与や退職金制度の有無
  • 社会保険の加入状況

特に注意が必要なのは、給与が業界平均よりも極端に高い場合です。これには業務量が多い、夜勤回数が多いなどの理由がある可能性があります。

また、実際の業務内容や担当する利用者数、配置される部署なども確認しておくことをおすすめします。求人情報と実際の労働条件にズレが生じていないか、具体的な数字を含めた詳細情報を確認することで、入職前後のギャップによる早期離職を防ぐことができます。

職場見学の重要性

可能であれば、実際に職場を見学することをおすすめします。見学を通じて、求人情報や面接だけでは分からない職場の雰囲気や実態を把握することができます。

職場見学の際にチェックすべきポイントとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 施設の清潔さや整理整頓の状態
  • スタッフ同士のコミュニケーションの様子
  • 利用者とスタッフの関わり方
  • 実際の業務の流れや忙しさの程度
  • 職員の表情や雰囲気
  • 人員配置の状況(人手不足ではないか)

見学時には、現場のスタッフと直接話をする機会があれば、「この職場の良いところは何ですか?」「働く上で大変なことは何ですか?」といった質問をしてみると良いでしょう。現場の生の声を聞くことで、より実態に近い情報を得ることができます。

実際の職場環境を自分の目で確認することは、長く働き続けられる職場かどうかを判断する上で非常に重要です。見学の機会が提供されない場合は、その理由を尋ねてみることも一つの判断材料となります。

研修制度とキャリアパス

介護職として長く働き続けるためには、スキルアップの機会やキャリアパスが明確であることも重要なポイントです。特に、以下のような点はしっかりチェックしましょう。

  • 新人研修の内容と期間
  • 継続的な研修制度の有無
  • 資格取得支援制度(費用補助や勉強会の実施など)
  • キャリアアップの道筋(リーダーや管理職への登用制度など)
  • 専門的なスキルを習得できる機会(認知症ケア、看取りケアなど)

事業所によっては、介護福祉士やケアマネージャーなどの上位資格取得を積極的に支援しているところもあります。また、キャリアラダーが明確に定められている事業所では、自分のキャリアパスをイメージしやすくなります。

自己成長の機会が充実しているかどうかは、長期的なモチベーション維持にも関わる重要な要素です。特に若手の場合は、将来のキャリアビジョンを描ける環境かどうかを重視して選ぶことをおすすめします。

まとめ

介護業界は人材不足の課題を抱えながらも、業界全体の離職率は改善傾向にあり、職場環境の整備も進んでいます。転職を検討する際は、離職率や労働条件、研修制度などの様々な視点から情報収集することが重要です。介護サービス情報公表システムの活用や職場見学を通じて実態を把握し、自分に合った環境を見極めることで、やりがいを持って長く働ける職場に出会えるでしょう。

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