株主総会議事録の書き方完全マニュアル|記載事項・押印・保管義務まで図解付きで徹底解説

「株主総会の議事録って、結局どこまで書けばいいの?

主総会の時期になると、多くの企業担当者が頭を悩ませる問題かもしれません。実は、記載事項の不備や保管方法の誤りで、後になって法的トラブルに発展するケースは少なくありません。議事録ひとつで会社の信用が問われることもあるのです。

この記事では、株主総会議事録の基本的な役割から、会社法で定められた必要記載事項、押印ルール、保管義務、さらには実務で役立つテンプレートの活用法まで、すべてを網羅的に解説します。

目次

株主総会議事録は会社の公式な決定記録である

株主総会で決まったことは、口頭での約束だけでは証拠になりません。「言った・言わない」の争いを防ぎ、会社としての正式な意思決定を形に残すために議事録が存在します。ここでは、議事録がなぜ重要なのか、その本質的な役割から理解していきましょう。

株主総会議事録の役割と重要性

株主総会議事録とは、株主総会で話し合われた内容や決定事項を文書として記録したものです。これは単なるメモではなく、会社法で作成が義務付けられた「公式な法的文書」として扱われます。

議事録が持つ役割は大きく3つあります。第一に、株主や取締役への説明責任を果たす証拠となること。第二に、登記申請や税務調査など、行政手続きに必要な添付書類となること。第三に、後日トラブルが発生した際の「会社の意思決定の証拠」となることです。

議事録がなければ、たとえ正当な手続きで決議したとしても、それを証明する手段がなくなってしまいます。たとえば、役員報酬の増額を株主総会で決めたのに議事録がなければ、税務調査で「本当に株主総会で決議したのか」と疑われ、経費として認められないリスクすらあります。

株主総会議事録の種類とそれぞれの特徴

株主総会には大きく分けて「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があり、それぞれの総会に対応した議事録が作成されます。

定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定期間内に開催される総会で、決算報告や取締役選任といった定例の議題を扱います。多くの会社では年に1回、6月や3月に開催されます。一方、臨時株主総会は、緊急の議題が発生した場合に随時開催されるもので、たとえば新株発行や定款変更など、待てない案件があるときに招集されます。

定時株主総会と臨時株主総会の比較
項目 定時株主総会 臨時株主総会
開催頻度 年1回(事業年度終了後) 必要に応じて随時
主な議題 決算承認、役員選任、配当決定 定款変更、合併、新株発行など
招集手続き 定款に基づく 取締役会決議が必要
議事録の特徴 定型的な記載が多い 議題に応じた個別記載が必要

どちらの総会でも議事録作成は必須ですが、臨時株主総会の議事録は、なぜその時期に開催する必要があったのかという経緯も含めて記録しておくと、後々の説明に役立ちます。

株主総会議事録と取締役会議事録の違い

会社には株主総会だけでなく取締役会も存在し、それぞれに議事録が必要です。この2つは似ているようで、役割と法的な位置づけが大きく異なります。

株主総会は会社の最高意思決定機関であり、会社の基本的な方針や重要事項を決定します。一方、取締役会は株主総会で選ばれた取締役が集まり、日常的な業務執行の方針を決める機関です。簡単に言えば、株主総会が「会社のオーナーである株主の会議」、取締役会が「経営陣の会議」という関係です。

議事録の違いとして最も重要なのは「署名押印者」です。株主総会議事録には原則として出席した取締役・監査役が署名押印しますが、取締役会議事録には出席した取締役と監査役全員の署名押印が必要となります。また、保管期間はどちらも10年間ですが、閲覧請求できる人の範囲が異なります。株主総会議事録は株主と会社債権者が閲覧できますが、取締役会議事録は原則として株主のみが閲覧可能です。

これら2つの議事録を混同して作成してしまうと、登記申請が受理されなかったり、法的な有効性を問われたりする可能性があるため、それぞれの形式をしっかり区別することが大切です。次のセクションでは、株主総会議事録に具体的に何を書くべきか、法律上の要件を詳しく見ていきます。

株主総会議事録は法律で作成と記載事項が定められている

実は株主総会議事録の記載事項は会社法で細かく定められており、必要な項目が欠けていると登記申請が通らなかったり、議事録自体の効力が疑われたりします。法律の要件を正しく理解することが、適切な議事録作成の第一歩です。

会社法上の必要記載事項の一覧

会社法施行規則第72条では、株主総会議事録に記載すべき事項が具体的に定められています。これらは省略できない必須項目ですので、漏れがないようチェックリストとして活用してください。

    株主総会議事録の必要記載事項

  • 株主総会が開催された日時および場所(バーチャル開催の場合はその旨)
  • 株主総会の議事の経過の要領およびその結果
  • 出席した取締役、監査役、会計参与、会計監査人の氏名または名称
  • 議長が存在する場合は、議長の氏名
  • 議事録作成者の氏名
  • 株主総会に出席した株主の数、議決権の数、議決権を行使した株主の数

特に「議事の経過の要領およびその結果」という記載には注意が必要です。これは、単に「承認された」と書くだけでは不十分で、どのような議案が提出され、どのような質疑があり、どのような方法で採決され、賛成・反対がどれだけあったかという「過程」も含めて記録する必要があるという意味です。

たとえば、取締役選任の議案であれば、「候補者〇〇氏について審議し、出席株主の議決権の過半数の賛成により選任が可決された」というように、経過と結果の両方を明記します。

署名押印と議事録署名人の責任とタイミング

株主総会議事録への署名押印については、実は会社法上は義務ではありません。ただし、これは大きな誤解を生みやすい点なので注意が必要です。

会社法では署名押印を直接義務付けていませんが、定款で「出席取締役および出席監査役が署名または記名押印する」と定めている会社が大半です。また、登記申請の際には議事録への押印が求められるケースが多く、実務上は署名押印が事実上の必須事項と考えておくべきです。

署名押印のタイミングは、議事録の作成後、できるだけ速やかに行うのが望ましいとされています。会社法では議事録の作成期限を「株主総会の日から10日以内」と定めているため、この期間内に署名押印も完了させるのが一般的です。

なお、議事録署名人は記載内容の正確性について責任を負います。虚偽の記載があった場合、署名人は株主や第三者に対して損害賠償責任を問われる可能性もあります。署名前には必ず記載内容を確認し、事実と相違がないことを確認してから押印しましょう。

記載不備や虚偽記載がある場合のリスクと罰則

議事録に不備があった場合、どのような問題が起こるのでしょうか。影響は「軽微なもの」から「会社の存続に関わるもの」まで幅広く存在します。

まず、登記申請への影響があります。役員変更や増資などの登記申請には株主総会議事録の添付が必要ですが、記載事項に不備があると法務局で申請が受理されません。再提出となれば手続きが遅れ、ビジネス上の支障をきたすこともあります。

次に、税務調査でのリスクです。役員報酬の決定や配当の決議など、税務に関わる事項は議事録が根拠資料となります。議事録がなかったり、記載が曖昧だったりすると、経費性が否認されるリスクがあります。

さらに深刻なのが、虚偽記載に対する罰則です。会社法第976条では、株主総会議事録に虚偽の記載をした者に対して、100万円以下の過料を科すと定めています。これは刑事罰ではなく行政罰ですが、会社の信用に傷がつくことは避けられません。また、虚偽記載によって第三者に損害を与えた場合は、民事上の損害賠償責任も発生します。

これらのリスクを回避するためにも、議事録は正確かつ誠実に作成することが求められます。続いては、実際に議事録を作成する際の具体的な流れと実務上のポイントを解説します。

株主総会議事録は適切に作成、保存、公開までの流れ

法律の要件を理解したところで、次は実務の話です。議事録作成は株主総会当日だけで完結するものではありません。事前準備から当日の記録、作成後の保管、そして閲覧請求への対応まで、一連の流れとして捉えることで、漏れのない対応が可能になります。

作成前の準備と招集関連の記録の残し方

株主総会議事録の作成は、実は総会開催前から始まっています。招集手続きが適法に行われたことを示す資料は、議事録の信頼性を裏付ける重要な補完書類となるからです。

具体的に残しておくべき記録としては、まず「株主総会招集通知」の写しがあります。いつ、誰に対して、どのような方法で招集通知を発送したかを明らかにするものです。会社法では、公開会社は総会の2週間前まで、非公開会社は1週間前までに招集通知を発送する必要があります。

次に、招集通知の発送記録も保管しておきましょう。郵送であれば発送日がわかる記録、メールであれば送信履歴を残しておくと、万が一「招集通知を受け取っていない」という株主からのクレームがあった場合に対応できます。

また、取締役会設置会社の場合は、株主総会の招集を決議した取締役会議事録も必要です。これにより、株主総会の招集が正当な手続きで決定されたことを証明できます。

当日の記録方法と投票集計の記載方法

株主総会当日は、議事進行を記録する担当者を事前に決めておくことが重要です。一般的には総務部門の担当者や、場合によっては司法書士に同席を依頼することもあります。

当日記録すべき項目は以下のとおりです。まず、開会時刻と閉会時刻を正確に記録します。次に、出席株主の確認として、出席株主数、総議決権数、行使された議決権数をカウントします。定足数を満たしているかの確認にもなります。

議案審議の記録では、各議案について「議案の内容→質疑応答の要旨→採決方法→採決結果」の順で記録していきます。質疑応答については、すべての発言を逐語的に記録する必要はなく、「要旨」として重要なポイントを押さえれば十分です。

採決結果の記載については、決議要件を満たしていることがわかる書き方をします。たとえば、「出席株主の議決権数1,000個のうち、賛成950個、反対30個、棄権20個により、賛成多数で可決された」というように、数字を明記すると後日の検証にも耐えられます。

議事録の訂正と追記の手続き

議事録を作成した後で誤りに気づいた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。単純に書き換えてしまうと改ざんと疑われる可能性があるため、適切な手順を踏む必要があります。

軽微な誤記(誤字脱字や明らかな計算ミスなど)の場合は、訂正箇所に二重線を引き、正しい記載を追記したうえで、訂正印を押印する方法が一般的です。「○字削除、○字加入」と欄外に記載することもあります。

内容に関わる重大な訂正が必要な場合は、より慎重な対応が求められます。理想的には、次回の株主総会で「前回株主総会議事録の一部訂正の件」として議題に上げ、訂正について株主の承認を得る方法があります。

電子的に議事録を作成している場合は、更新履歴(誰が、いつ、どこを変更したか)が記録されるシステムを利用すると、訂正の透明性を確保できます。

保存期間と保管方法の実務(紙と電子)

会社法では、株主総会議事録の保存期間を「株主総会の日から10年間、本店に備え置く」と定めています。支店がある場合は、支店にも5年間の備え置きが必要です。

保管方法については、紙での保管と電子データでの保管の両方が認められています。電子保管を行う場合は、電子署名やタイムスタンプを付与するなど、改ざん防止措置を講じることが推奨されます。

保管方法の比較
項目 紙での保管 電子での保管
メリット 署名押印の原本性が明確 検索性が高く省スペース
デメリット 保管スペースが必要、劣化リスク セキュリティ対策が必要
注意点 火災・水害対策を講じる 電子署名やアクセス権限を設定
閲覧対応 原本を提示 印刷または画面表示で対応

実務上は、紙の原本を保管しつつ、検索用にPDFデータも併用する「二重管理」を行う会社が多いです。重要書類ですので、保管場所のセキュリティにも配慮しましょう。

閲覧請求や開示対応の手順と注意点

株主総会議事録は、株主および会社債権者から閲覧・謄写(コピー)の請求があった場合、正当な理由なく拒否することはできません(会社法第318条)。

閲覧請求があった場合の対応手順として、まず請求者が株主または債権者であることを確認します。株主であれば株主名簿との照合、債権者であれば債権の存在を示す書類の提示を求めます。

閲覧場所は原則として本店の会議室など、会社が指定する場所となります。営業時間内の閲覧が基本ですが、合理的な範囲で日時を調整することは差し支えありません。

注意点として、閲覧請求を「正当な理由なく拒否」した場合、会社の代表者に100万円以下の過料が科される可能性があります。「忙しいから」「面倒だから」といった理由は正当な理由として認められません。請求があったら誠実に対応することが求められます。

実務でのよくあるミスとその防止策

株主総会議事録の作成において、実務で頻発するミスをご紹介します。事前に把握しておくことで、同じ過ちを避けることができます。

最も多いのが「開催日時と場所の記載漏れ」です。基本的な項目だからこそ、慣れてくると見落としがちになります。特にオンラインでのバーチャル株主総会を開催した場合、「バーチャル形式で開催した旨」の記載が必要なのに抜けてしまうケースがあります。

次に多いのが「出席者の記載誤り」です。取締役が欠席したのに出席と記載してしまったり、監査役の氏名が漏れていたりするケースがあります。総会前に出席予定者リストを作成し、当日の出欠をチェックする運用が有効です。

「議決結果の記載が曖昧」というミスも多発しています。「可決された」とだけ書いて、賛成・反対の数を記載し忘れるケースです。特に役員選任など登記に使う議事録では、このような曖昧な記載は法務局から補正を求められる原因になります。

    よくあるミスと防止策

  • 開催日時・場所の記載漏れ → チェックリストで確認
  • 出席者の記載誤り → 事前に出席予定者リストを作成
  • 議決結果の曖昧な記載 → 賛成・反対の数を必ず明記
  • 署名押印の漏れ → 署名欄に全員分のチェック欄を設ける
  • 保管期限の管理ミス → 文書管理台帳で期限を一元管理

テンプレートとチェックリストの活用方法

議事録作成の効率化と品質確保のためには、自社用のテンプレートとチェックリストを整備することが非常に有効です。一から文章を作成するより、ひな形に沿って必要事項を埋めていく方式の方が、記載漏れを防ぎやすくなります。

テンプレートには、必要記載事項がすべて網羅された「枠」を用意しておきます。日時、場所、出席者、議案ごとの審議経過と結果、署名欄など、決まった項目を穴埋め形式で記入できるようにしておくと、担当者が変わっても一定品質の議事録を作成できます。

チェックリストは、議事録作成後の確認用に使います。「必要記載事項がすべて記載されているか」「署名押印は完了しているか」「保管場所は適切か」といった項目を一つずつ確認することで、提出前のミスを発見できます。

議事録作成の負担を軽減する「ScribeAssist」の活用

ここまで見てきたように、株主総会議事録の作成には招集手続きの記録から当日の発言記録、訂正対応、10年間の保管管理、閲覧請求への対応まで、多岐にわたる実務が求められます。特に「誰が何を発言したか」を正確に記録し、決議要件を満たす数値を明記するには、相当な労力と時間が必要です。

こうした議事録作成の負担を大幅に軽減できるのが、株式会社アドバンスト・メディアが提供するAI議事録作成アプリケーション「ScribeAssist」です。

ScribeAssistの最大の特長は、録音から文字起こし、生成AIによる自動要約まで、すべてインターネット接続なしで動作するスタンドアローン型であること。株主総会では機密性の高い経営情報が議論されるため、情報漏洩リスクのないセキュアな環境で利用できる点は大きなメリットです。

実際にJ-POWER(電源開発株式会社)様では、大きな会議で「誰が何を言ったか」を記録した議事録作成に担当者の負担がかかり、完成までに数日要する場合もあったという課題に対し、ScribeAssistを導入。音声認識精度は9割以上を達成し、文字起こし作業がなくなったことで会議に集中できるようになり、若手社員の業務負担が軽減されました。

まとめ

この記事では、株主総会議事録の書き方について、基本的な役割から法律で定められた記載事項、署名押印のルール、保管義務、そして実務でのミス防止策まで、包括的に解説してきました。

株主総会議事録は、会社の重要な意思決定を公式に記録する法的文書です。必要記載事項を漏れなく記載し、適切な署名押印を行い、10年間の保管義務を果たすことが求められます。これらを怠ると、登記申請の却下や税務上の不利益、さらには過料という罰則のリスクもあります。

一見すると面倒に思える議事録作成ですが、テンプレートやチェックリストを活用し、正しい手順を踏めば、決して難しいものではありません。本記事の内容を参考に、御社の議事録作成実務をぜひ見直してみてください。適切な議事録管理は、会社のガバナンス強化にもつながります。

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