WordPressは世界で最も普及しているCMSですが、その人気と普及に伴い、様々な種類の脆弱性にも注意を払う必要があります。これらの脆弱性を放置すると、サイトが不正アクセスを受けたり、データが改ざんされたりするリスクがあるのです。本稿では、2024年のWordPress脆弱性に関する調査報告の要点をお伝えします。
WordPressは世界で最も普及しているCMSであり、その人気と普及とともに、さまざまな種類の脆弱性にも注意を払う必要があります。
WordPress脆弱性の種類と深刻度
この章では、WordPress脆弱性の深刻度分布、認証を必要とする/不要な脆弱性の違い、そして最も一般的な脆弱性の種類について説明します。
脆弱性の深刻度分布
脆弱性の深刻度はクリティカル、高、中、低の4段階に分類されています。中程度の脆弱性が全体の67.12%を占め、最も多い割合となっています。一方、クリティカルな脆弱性は2.38%と比較的少数にとどまります。
深刻度 | 割合 |
---|---|
クリティカル | 2.38% |
低 | 12.83% |
高 | 17.68% |
中 | 67.12% |
認証済みと認証不要の脆弱性
認証済み脆弱性は、攻撃者が事前にユーザー認証情報を取得する必要がありますが、認証不要の脆弱性なら誰でも攻撃可能です。
- 認証不要の脆弱性と購読者レベルの認証済み脆弱性は最も悪用されやすく、全体の約22%を占めます。
- 一方、管理者レベルの認証が必要な脆弱性は30.71%と割合が高く、比較的悪用が難しくなります。
脆弱性の最も一般的な種類
認証不要または購読者レベルの脆弱性で最も多いのは、アクセス制御の脆弱性で84.99%を占めています。SQLインジェクションも20.64%と高い割合となっています。これらは深刻なセキュリティリスクをもたらす可能性が高いです。
- アクセス制御の脆弱性 (84.99%)
- SQLインジェクション (20.64%)
- クロスサイトスクリプティング (9.4%)
- 認証不要の任意ファイルアップロード (5.28%)
- 機密データの開示 (4.59%)
また、WordPressコア自体の脆弱性は13件報告されましたが、そのうち高い深刻度と評価されたのは1件のみでした。WordPressコミュニティの努力により、コア自体の脆弱性は最小限に抑えられています。
攻撃者が利用する手法
この節では、ウェブサイトの脆弱性を狙う攻撃者が利用する一般的な手法について概説します。
ぬれた攻撃
「ぬれた」とは、違法にコピーされたプラグインやテーマのことを指します。これらのソフトウェアには、バックドアやマルウェアが含まれていることが多く、非常に危険です。攻撃者はこうした「ぬれた」ソフトウェアを利用し、ウェブサイトに侵入を試みます。
弱いパスワード
強固なパスワードを設定しないと、攻撃者に簡単に推測されてしまう危険性があります。総当たり攻撃などにより、弱いパスワードを突破されると、ウェブサイトが乗っ取られる恐れがあります。パスワードを定期的に更新し、複雑性を高めることが重要です。
クリデンシャル漏洩
ユーザー名とパスワード(クリデンシャル)が漏洩すると、攻撃者はそれらを不正に利用できます。漏洩は様々な手法で発生する可能性があり、フィッシング詐欺やソフトウェアの脆弱性など、注意が必要です。クリデンシャルを厳重に管理し、定期的に変更することをおすすめします。
以上の手法に加え、アクセス制御の脆弱性やSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなども大きな脅威となります。こうした脆弱性を放置すると、ウェブサイトが深刻な被害を受ける可能性があるのです。
本日はWordPress脆弱性についてお話しします。この問題は、WordPressを利用するウェブサイト運営者にとって非常に重要です。脆弱性を放置すれば、サイトが乗っ取られたり、データが改ざんされたりする恐れがあるからです。
攻撃を許可する権限レベル
まず、攻撃を実行するために必要な権限レベルについて説明します。
管理者権限を必要とする脆弱性
この種類の脆弱性を悪用するには、管理者権限が必須となります。全脆弱性の約30%を占める比較的多い割合ですが、管理者アカウントへの不正アクセスは難しいため、リスクは低めと考えられています。
CRSFによる権限昇格
Cross Site Request Forgery(CSRF)の脆弱性を利用すると、管理者などの高権限を騙し取ることができます。ユーザーに悪意のあるリンクをクリックさせるだけで、攻撃者が高権限を奪取できる危険な手口です。全体の約25%を占める重大な脅威といえるでしょう。
権限レベル別の脆弱性割合
実際に報告された脆弱性を権限レベル別にみると、以下の通りです。
- 管理者: 30.71%
- CSRF: 24.74%
- 投稿者: 19.62%
- 購読者/認証不要: 約22% (10.4%+12.35%)
購読者レベルや認証不要の脆弱性は、最も悪用されやすい危険な脆弱性といえます。一方、管理者権限を必要とする脆弱性は多いものの、比較的安全と考えられています。
攻撃者が利用する手法
次に、攻撃者が利用する主な手口を見ていきましょう。
ぬれた攻撃
「ぬれた」とは、違法にコピーされたプラグインやテーマのことです。こうしたソフトウェアには、バックドアやマルウェアが仕込まれている可能性が高く、非常に危険です。攻撃者はこの手口を使い、ウェブサイトへの不正侵入を試みます。
弱いパスワード
パスワードが簡単すぎると、攻撃者に総当たり攻撃で推測されてしまいます。弱いパスワードを使っていると、ウェブサイトが乗っ取られるリスクが高まるので、複雑で定期的に変更するよう心がけましょう。
クリデンシャル漏洩
ユーザー名やパスワード(クリデンシャル)が漏洩すると、攻撃者にそれらが不正に使われてしまいます。クリデンシャル漏洩は、フィッシング詐欺やソフトウェア脆弱性など、様々な原因から発生する可能性があります。こまめな変更と厳重な管理が大切です。
このように、攻撃者は様々な手口でウェブサイトに侵入を試みます。そのため、セキュリティ対策は怠ることなく、脆弱性対策にも十分気をつける必要があるのです。
WordPressコアの脆弱性
この章では、WordPressコアそのものに報告された脆弱性の数と深刻度、そしてWordPressコミュニティによる脆弱性発見と修正への取り組みを概観します。
コアに報告された脆弱性の数と深刻度
2023年に、WordPressコア自体で13件の脆弱性が報告されました。しかし、そのうち高い深刻度と評価されたのは1件のみでした。一方で、クリティカルな最高レベルの脆弱性は報告されませんでした。
このように、WordPressコアの脆弱性は最小限に抑えられており、プラットフォーム自体は非常に高い安全性を維持していることがうかがえます。
コミュニティによる脆弱性発見と修正
WordPressは世界中のコミュニティから支えられているオープンソースのCMSです。このコミュニティのおかげで、脆弱性が積極的に発見され、迅速に修正されているのです。
コミュニティは、WordPressの根幹であるコアの脆弱性を最小限に抑えるだけでなく、サードパーティ製のプラグインやテーマの脆弱性にも目を光らせています。高い専門性と情報網羅性により、ユーザーのセキュリティを守る努力が成されているといえるでしょう。
このように、WordPressコアの脆弱性は限りなく少なく、また発見された脆弱性も迅速に修正されています。これはコミュニティの尽力によるものであり、WordPressの高い安全性を裏付ける実績といえます。
ウェブサイトセキュリティとSEO
ウェブサイトのセキュリティは、SEOにも大きな影響を及ぼします。この章では、セキュリティ対策の重要性と、具体的な推奨対策について説明します。
ウェブサイトセキュリティの重要性
ウェブサイトが脆弱性を放置すると、サイトが乗っ取られたり、データが改ざんされたりする危険性があります。その結果、ウェブサイトの評価が低下し、検索エンジンの順位が下がってしまう可能性もあるのです。つまり、適切なセキュリティ対策を講じることは、SEO対策においても非常に重要なのです。
推奨されるセキュリティ対策
ウェブサイトのセキュリティを高めるためには、以下の対策が推奨されます。
- 強固なパスワードの設定と定期的な変更:総当たり攻撃などから守るための基本的な対策です。
- セキュリティヘッダーの利用:クロスサイトスクリプティングなどの脆弱性を防ぐことができます。
- WordPressファイアウォールの導入:不正アクセスからサイトを保護できます。
- ウェブサイトのハードニング:不要なサービスを無効化するなど、攻撃対象を限定します。
こうした対策を組み合わせることで、ウェブサイトの脆弱性を最小限に抑え、安全性を高めることができます。結果として、順位の低下を防ぎ、SEO対策の効果を最大限に発揮できるはずです。
まとめ
2024年のWordPressサイトでは、中程度の脆弱性が最も多く67.12%を占めています。深刻な脆弱性は比較的少数です。一方で、認証不要や購読者レベルの脆弱性は最も悪用されやすく注意が必要です。攻撃者は「ぬれた」ソフトウェア、弱いパスワード、クリデンシャル漏洩などの手口を駆使してサイトに侵入を試みます。脆弱性を放置すると、サイトが乗っ取られたり、データが改ざんされたりするリスクがあるため、適切なセキュリティ対策が不可欠です。
WordPressコアの脆弱性は最小限に抑えられており、コミュニティの力によって発見と修正が行われています。一方、サードパーティ製プラグインやテーマには注意が必要です。ウェブサイトのセキュリティはSEOにも影響するため、強固なパスワード、セキュリティヘッダー、ファイアウォール、ハードニングなどの対策を講じることが推奨されます。