1. UXハニカムの概要解説

ユーザーデザイン(UX)とその重要な要素を理解する上での助けとなるものとして、UXハニカムがあります。この段落では、
その全体像を詳しく解説していきます。

UXハニカムは、UXデザインの目指すべき最終目標をビジュアリーリーズするフレームワークであり、7つの要素を持ちています。

UXデザインにおける基本理念ともいえるUXハニカムを理解し活用することで、より理想的なユーザーエクスペリエンスを実現することが可能となります。

1.1 UXとは何か

UXはUser Experienceの略で、直訳すると「ユーザー経験」となります。商品やサービスを利用したときにユーザーが体験すること全般をさします。

これには、直接的な利用体験だけでなく、製品の外観、音、触感、さらにはブランドイメージや広告、さらにその後のサポートまで全体的な経験を含みます。

良いUXを実現することは、プロダクトの成功に直結する重要な要素であり、その意義は増してきています。

1.2 UXハニカムの定義

UXハニカムはユーザーエクスペリエンスを構成する7つの要素を表したモデルで、それぞれが連携し全体としてのUXを形成します。

7つの要素とは、効用性、使いやすさ、望ましさ、見つけやすさ、信用性、アクセシブル、価値となります。

これらを理解し、適切に調整・連携させることで、ユーザーにとって価値の高い体験を提供することが可能となります。

1.3 UXハニカムの起源と開発者

UXハニカムは、ユーザーエクスペリエンスの研究者とデザイナー、ピーター・モルビルによって2004年に作られました。

彼はこのモデルを、「情報を見つけやすく、理解しやすく、使いやすく、信頼できるものにすること」を目指すための手段として提案しました。

そしてそれは、UXデザインの世界で広く知られ、用いられるようになりました。

1.4 UXハニカムとUXデザインの関係性

UXハニカムは、UXデザインにおける目指すべき価値を具体化し、それを達成するための手段を視覚化したものです。

それぞれの要素は個別に重要でありながら、他の要素と結びついて初めて全体としての価値を生み出します。

したがって、UXハニカムを理解し活用することは、全体最適化したUXデザインを実現するための重要なステップとなります。

2. UXハニカムの具体的な要素の解説

UXハニカムには7つの具体的な要素があります。それぞれの要素はユーザーの経験を改善し、サイトやアプリケーションの価値を最大化するのに重要な役割を果たしています。以下では各要素について詳しく解説します。

これらの要素はペンタゴン形状で表示され、それぞれの要素が相互に影響を及ぼし合い、全体としてユーザーエクスペリエンスを形成します。

それぞれの要素の意味とその重要性について理解することで、よりユーザーに優れた体験を提供する設計が可能となります。

2.1 用途性(Useful)

用途性(Useful)は、製品やサービスがユーザーのニーズを満たすか、または問題を解決するかを指します。用途性の高い製品は、ユーザーの生活を改善し、より便利にします。

用途性を評価する際には、製品の機能や性能だけでなく、それがユーザーの具体的な課題をどのように解消するかを考えることが重要です。

この要素はUXデザインの本質であり、ユーザーのタスク遂行を助け、目的を達成する機能やサービスを提供することが求められます。

2.2 使用可能性(Usable)

使用可能性(Usable)は、製品がどれくらい直感的に使いやすいか、または学習しやすいかを示します。使用可能性の高い製品は、ユーザーにストレスを与えることなく、目的を達成するための作業をスムーズに行うことができます。

使用可能性はエラーの発生率を減らし、製品に対するユーザーの満足度を向上させます。したがって、良いUXデザインを目指す際は、使用可能性を確保することが重要です。

使用可能性を高めるためには、直感的なインターフェースの設計、明確な指示、複雑さの排除などが求められます。

2.3 欲望性(Desirable)

欲望性(Desirable)は、製品が魅力的で欲しくなる程度を示します。より具体的には、製品のデザイン、ブランド、イメージがユーザーにどれだけ魅力的に映るかを測定します。

欲望性の高い製品はユーザーから好意的に見られ、ブランドの認知度や好感度を向上させる可能性があります。その結果、製品の使用頻度やロイヤリティも高まります。

欲望性を向上させるためには、ビジュアルデザインの質、ブランドイメージの構築、ストーリーテリングなどが重要となります。

2.4 発見性(Findable)

発見性(Findable)は、ユーザーが必要な情報や機能、コンテンツを迅速に見つけることができる程度を示します。発見性が高い製品は、ユーザーの操作に迷いを生じさせず、必要な情報を効率良く提供します。

具体的には、製品内のナビゲーションの設計や、情報の構成、検索機能の実装などが発見性を高める要素となります。

ユーザーが目的を達成するまでの時間を短縮し、使いやすさを向上させるために、発見性は非常に重要な要素となります。

2.5 アクセス可能性(Accessible)

アクセス可能性(Accessible)は、製品が全ての人々に使いやすいかどうかを示します。具体的には、障害を持つユーザーや高齢者など、様々な状況のユーザーが製品を利用できるかに着目します。

アクセス可能性を確保することで、より広範囲のユーザーグループに製品が届くため、広い意味でのユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

この要素を重視することによって、多様性を尊重し、全てのユーザーに対して公平なサービスを提供できるようになります。

2.6 信用性(Credible)

信用性(Credible)は、製品やサービスがユーザーから信頼されているかどうかを示します。信用性の高い製品は、ユーザーからの信頼とロイヤリティを獲得することができます。

信用性を確保するためには、情報の正確性と透明性、ユーザーのプライバシーとセキュリティの確保などが不可欠です。

また、ユーザーとの良好な関係を維持するためにも、製品が提供する情報やサービスの信用性を確保することは非常に重要です。

2.7 価値性(Valuable)

価値性(Valuable)は、製品やサービスがユーザーにとって本当に価値があるかどうかを示します。価値性の高い製品は、ユーザーにとって有用であり、その結果、製品はユーザーの生活に積極的な影響を与えます。

価値性を確保するには、ユーザーが価値と感じる要素を製品に組み込むことが求められます。この要素はユーザーの期待を上回るような体験を提供することで実現できます。

製品の価値性を最大化することで、ユーザー満足度を向上させ、ユーザーエクスペリエンスも大きく向上させることが可能となります。

3. UXハニカムを利用したプロジェクトの進め方

UXハニカムは、ユーザー体験(User Experience、以下、UXと呼びます)を高めるための設計手法の一つです。ここでは、このUXハニカムをプロジェクト運営に活用する方法を説明します。

具体的には、プロジェクトの計画、ユーザー研究、設計・開発、評価の各フェーズでの活用法を見ていきましょう。

重要なのは、全てのフェーズでUXハニカムの視点を持つことで、ユーザーの求める最適な体験を実現することにあります。

3.1 UXハニカムを用いたプロジェクトの計画

プロジェクトの計画段階では、UXハニカムの各要素を考慮に入れることが重要です。具体的には、製品やサービスが提供する価値をユーザーにとって意味のある形で実現するための具体的なステップを設定する作業です。

この段階でUXハニカムの各要素を具体的に明示し、それぞれがプロジェクトのゴールにどう寄与するのかを理解しておかなければなりません。

そのために、計画の各ステージで参照しやすいよう、UXハニカムの各要素を視覚化することを推奨します。

3.2 UXハニカムを用いたユーザー研究

ユーザー研究は、ユーザーの行動や意識、感情を明らかにし、それを設計に反映させるためのプロセスです。UXハニカムは、このユーザー研究において強力なツールとなります。なぜなら、UXハニカムの各要素はユーザーが製品やサービスに望む体験を概念化しているからです。

ユーザー研究では、各ユーザーがどの要素をどのように求めているのか、その優先度は何か、を把握するための調査が重要です。

その結果を元に、ユーザーの望む体験を具現化できる設計を行うための基礎とします。

3.3 UXハニカムを用いた設計・開発

設計・開発フェーズでは、得られたユーザーのインサイトとUXハニカムの要素とを組み合わせ、最適なユーザー体験を設計・開発します。この段階で、UXハニカムの視点からチェックを行いながら、設計・開発を進めることが必要です。

また、新しいアイデアや機能が提案された際にも、それがUXハニカムの観点から最適なユーザー体験を実現するものであるかを確認することが求められます。

常にUXハニカムを意識しながら、ユーザーの求める体験に繋がる設計・開発を行うことが重要です。

3.4 UXハニカムを用いた評価

製品やサービスがユーザーに提供された後も、その評価にはUXハニカムが活用できます。UXハニカムを用いることで、製品やサービスがユーザーの求める体験を適切に実現しているか、またそれがどのように改善すれば良いかが明確になるはずです。

評価の結果を基に、製品やサービスの改良や更新を行うことで、より良いユーザー体験を実現し続けることが可能になります。

UXハニカムを使った評価は、ユーザー体験の向上だけでなく、製品やサービスの継続的な改良の一環としても有効です。

4. UXハニカムの効果的な活用法

UXハニカムは、UXデザインを理解し、適切に活用するための枠組みとして有用です。それぞれのハニカムが示す要素を理解し、連携して活用することでUXデザインの質を向上させることができます。

以下では、UXハニカムの各要素を効果的に活用し工程ごとの改善に取り組む方法について詳細に解説します。

理解と改善を促進するために、集中的な討論や多様な視点の提供が求められます。また、ユーザーの体験を向上させるための具体的な改善策を立てるにあたっても、UXハニカムは重要なツールとなります。

4.1 UXフレームワークとしての活用

UXハニカムの要素は、UXデザインの各段階において参照できます。コンテンツの有用性、ユーザビリティ、デザインなど、すべての要素がユーザーエクスペリエンスを形成する上で重要な役割を果たします。

例えば、新しいプロダクトの企画段階でUXハニカムをフレームワークとして活用することで、ユーザーの視点を明確に保ちながら、プロダクト企画を進めることができます。

また、開発中やリリース後のレビュー、改善の際に使用することで、UXの全要素を洗い出し、重要な改善点を見逃さずに済むことでしょう。

4.2 チームでの議論を促進するための手法としての活用

UXハニカムを議論の材料とすることで、チーム内の理解を深めるとともに、具体的な行動指針を共有することができます。

各ハニカムの要素やその関連性について話し合うことで、チーム全体の視点が広がり、理解が深まります。その結果、意見のすれ違いや誤解を避け、より効率的な開発が可能となるでしょう。

また、各段階での進捗を共有し、問題や困難を共有することで、適切な時期に改善策を立てることが可能になります。

4.3 ユーザー体験の視点を広げるための活用

UXハニカムを参照することで、ユーザーエクスペリエンスの様々な面を総合的に俯瞰し、各要素が如何に相互関連して影響を及ぼすかを理解することができます。これは製品やサービスのユーザビリティ向上に繋がります。

特定の視点だけでなく、全体の視野を持つことで、適切な改善策を見つけることができ、また新たな可能性を見つけるきっかけにもなります。

異なる視点を持つユーザーを想定し、その視点で見たUXハニカムの要素を検討することで、ユーザー体験の全体的な改善につながります。

4.4 UXの改善策を立てるための活用

UX改善策を考える際には、UXハニカムの視点から各要素を改善すべき項目として挙げ、それらを優先順位付けすることが効果的です。

UXハニカムを用いると、様々な視点から問題を見つけ出し、それに対する解決策を総合的に考えることができます。

もちろん、すべての要素を一度に残念に取り組むことは無理かもしれませんが、繋がりのある要素から順に改善を行い、全体のバランスをとりながら進めていくことが重要です。

5. UXハニカムの注意点・課題

UXハニカムにはさまざまな注意点と課題が存在します。それぞれを理解し、適切に対応することで効果的なUX設計の助けになるでしょう。

5.1 UXハニカムを理解する上での注意点

まずはUXハニカムを理解する上での注意点について見て行きましょう。

UXハニカムには7つの要素が存在します。すべての要素をバランス良く発展させることが理想的ですが、全てに等しくリソースを割くことは難しいのが現状です。

また、状況により優先すべき要素は変わるため、目の前の課題に対応するための適切な要素を選ぶ視点が必要となります。

5.2 UXハニカムを活用する上での可能性の課題

続いて、UXハニカムを活用する上での可能性の課題について解説します。

UXハニカムを活用すると多くの利益を得ることができますが、完璧に実践することは難しい面もあります。

両義性の対応など、UXハニカムの要素間でトレードオフの発生や、制約があるものをどのように持続的に解消していくかが課題となることが多いです。

5.3 UXハニカムの使い方に対する批判

そしてUXハニカムの使い方に対する批判についてもお話しします。

UXハニカムは包括的なフレームワークである反面、それぞれの要素の優先順位が明確でないという批判があります。

そのため、企業やプロジェクトごとに優先順位や重視すべきポイントは変わることを理解し、自身で適切に判断する必要があります。

5.4 UXハニカムの今後の展開

最後にUXハニカムの今後の展開に触れてみましょう。
近年、UXハニカムは多くの企業に認知され、評価されるようになりました。

今後、さらにその重要性が認識され、企業の製品開発やサービス展開における重要な要素として位置づけられるでしょう